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進藤大典「ブルックスは“連覇するクセ”が出来ている」底知れないケプカの安定感
2019年5月20日(月)午後6:15
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全米プロゴルフ選手権(米ニューヨーク州/ベスページブラックコース)はブルックス・ケプカ(米)の連覇で幕を閉じた。松山英樹は最終日に崩れるも通算3オーバー16位タイと流石のプレーを展開。その松山の元専属キャディ、進藤大典氏が最終日のゲスト解説を務め、大会終了後に一日を振り返った。
ブルックス(・ケプカ)には、すごいの一言です。「歴史的な瞬間に立ち会えている」とも思いました。これだけ連覇をし続けることは、連覇をする心構えというか、勝ちグセのような「連覇するクセ」が出来ていると感じます。ダンロップフェニックス(トーナメント)が彼にとって一番最初の連覇だった思いますが、メジャーでもダンロップフェニックスでも、どんな大会でもですがそういう「クセ」が大事だと思うんです。
ブルックスは無欲というか、常に集中できて良い精神状態を保てる選手。フィジカルや技術など色々なものが重ならないと良いスコアは出ないので、2017年から成績を出し続けているのは、チームの雰囲気や本人の日頃からの努力はもちろん、常にフラットで、欲張り過ぎない、悪い時でもポジティブでいることができるからだと思います。前の組で回っていたダスティン(・ジョンソン)にかなり詰め寄られましたが、今のブルックスなら2打差もあれば十分というような自信があるんだと思います。
特に印象に残ったのは、ブルックスの14番パー3のティーショットですね。グリーンをキャリーでオーバーしたじゃないですか。風が変わったのか、手前のバンカーは嫌なので、奥でもいいやみたいなジャッジでしたが、あんなにオーバーしてしまって。しかもあの時点で3連続ボギーを叩いていましたが、その時の表情が「マジで?」くらいで。ダスティンが迫ってきた状況で本人も優勝後のコメントで「プレッシャーがかかっていた」といっていましたが、全然動揺していない余裕感が出ていて。ブルックスの底が知れないなと思いました。
仮に、ブルックスにとってダスティンと違う組だったのは良かったのか悪かったのか分からないですが、一緒の組だったら逆にダスティンは良いプレーが出来なかったんじゃないかと思います。今のブルックスは何事にも動じない、寄せ付けない、そんな強さを感じます。
それから、キャディのリッキー(・エリオット)が素晴らしかったですね。ブルックスがボギーを重ねて辛いときでも、なんというか、まるでTシャツについた泥を払ってきれいにし続けているような感じで声をかけ続け、選手をフラットな状態に戻そうとしていました。また、その言葉を受け入れることができるブルックスも素晴らしいですね。まさに2人の信頼関係があってこその連覇だったと思います。
一方、ダスティンは、1番ホールからいい滑り出しで、ほとんどミスらしいミスもなく、バーディを獲りたい4番や9番も完璧なプレーでした。狭いコースですがドライバーも振れてましたし、ひとりだけ易しくプレーしてましたね。ダスティンとブルックスは兄弟分じゃないですか。弟分のブルックスに「簡単に勝たせないぞ」というのが見えました。
ボギーとした17番は、風が変わりだしたんですよね。風が弱まりだしました。しかし、風が弱くなっても選手やキャディは、そこまでの1番から16番までの風の強さが頭や体に残っていて、アゲインストの時どれだけ飛距離が落ちたかが残っているんです。それまでショート、ショートでジャッジしてきて、その中で17番のダスティンの一打は、左奥に行ってしまいました。少し大きかったと思うんです。外してはいけないところに外してしまいました。アプローチで上手く寄せましたが微妙なパーパットが外れてしまいボギー。結果的にこれが勝負のアヤというか…。あそこでもっと風が強ければとか、たらればになりますが、ダスティンにとっては悔しい一打だったと思います。
松山選手は、1番でチャンスにつけて、2番はバーディを獲り、3番は難しかったですが良いバンカーショットを打ち、良いパーパット打ったんですが、思ったよりも切れてしまいました。4番ではティーショットをフェアウェイの良いところに打ちましたが、セカンドショットがグリーンの下り傾斜に当たり奥に行ってしまいました。もう少し飛んでいたらグリーンに止まって、こぼれてもあんなに悪いライには行っていなかったと思います。4番でバーディを獲れなかった、本人の中では計算していたホールだったと思います。そして5番でダブルボギーを打ってしまったのが、苦しい流れになってしまったのかなと思いました。
攻めたくても攻められないベスページというコースの難しさだったり、耐えないといけないという状況が続いたので、今日は辛い一日というか、我慢の一日だったと思います。その中でも8番や17番は凄いバーディでしたし、最後まで諦めない姿勢もみせてくれました。スコアは良くなかったですが、ゴルフはこういう時もあります。なにより、メジャーで最終組から2組前という順位、好位置で回ることは本当に大事なので、これは必ず次の全米オープンや全英オープン、来年の全米プロで活きてくると思います。
次のメジャーである6月の全米オープンは、ブルックスにとっては3連覇がかかります。人生の中でも乗りに乗っていて、一番のモチベーションで調整してくるでしょう。そんなブルックスを誰が止めるのかですね。会場のペブルビーチGLは、ダスティンとの相性がいいですし、フィル(・ミケルソン)もタイガー(・ウッズ)も好きですからね。もちろん、松山選手も期待できると思います。
いや、毎月メジャーがあるというのは、本当に楽しみですね。
(写真:Getty Images)
ブルックス(・ケプカ)には、すごいの一言です。「歴史的な瞬間に立ち会えている」とも思いました。これだけ連覇をし続けることは、連覇をする心構えというか、勝ちグセのような「連覇するクセ」が出来ていると感じます。ダンロップフェニックス(トーナメント)が彼にとって一番最初の連覇だった思いますが、メジャーでもダンロップフェニックスでも、どんな大会でもですがそういう「クセ」が大事だと思うんです。
ブルックスは無欲というか、常に集中できて良い精神状態を保てる選手。フィジカルや技術など色々なものが重ならないと良いスコアは出ないので、2017年から成績を出し続けているのは、チームの雰囲気や本人の日頃からの努力はもちろん、常にフラットで、欲張り過ぎない、悪い時でもポジティブでいることができるからだと思います。前の組で回っていたダスティン(・ジョンソン)にかなり詰め寄られましたが、今のブルックスなら2打差もあれば十分というような自信があるんだと思います。
特に印象に残ったのは、ブルックスの14番パー3のティーショットですね。グリーンをキャリーでオーバーしたじゃないですか。風が変わったのか、手前のバンカーは嫌なので、奥でもいいやみたいなジャッジでしたが、あんなにオーバーしてしまって。しかもあの時点で3連続ボギーを叩いていましたが、その時の表情が「マジで?」くらいで。ダスティンが迫ってきた状況で本人も優勝後のコメントで「プレッシャーがかかっていた」といっていましたが、全然動揺していない余裕感が出ていて。ブルックスの底が知れないなと思いました。
仮に、ブルックスにとってダスティンと違う組だったのは良かったのか悪かったのか分からないですが、一緒の組だったら逆にダスティンは良いプレーが出来なかったんじゃないかと思います。今のブルックスは何事にも動じない、寄せ付けない、そんな強さを感じます。
それから、キャディのリッキー(・エリオット)が素晴らしかったですね。ブルックスがボギーを重ねて辛いときでも、なんというか、まるでTシャツについた泥を払ってきれいにし続けているような感じで声をかけ続け、選手をフラットな状態に戻そうとしていました。また、その言葉を受け入れることができるブルックスも素晴らしいですね。まさに2人の信頼関係があってこその連覇だったと思います。
一方、ダスティンは、1番ホールからいい滑り出しで、ほとんどミスらしいミスもなく、バーディを獲りたい4番や9番も完璧なプレーでした。狭いコースですがドライバーも振れてましたし、ひとりだけ易しくプレーしてましたね。ダスティンとブルックスは兄弟分じゃないですか。弟分のブルックスに「簡単に勝たせないぞ」というのが見えました。
ボギーとした17番は、風が変わりだしたんですよね。風が弱まりだしました。しかし、風が弱くなっても選手やキャディは、そこまでの1番から16番までの風の強さが頭や体に残っていて、アゲインストの時どれだけ飛距離が落ちたかが残っているんです。それまでショート、ショートでジャッジしてきて、その中で17番のダスティンの一打は、左奥に行ってしまいました。少し大きかったと思うんです。外してはいけないところに外してしまいました。アプローチで上手く寄せましたが微妙なパーパットが外れてしまいボギー。結果的にこれが勝負のアヤというか…。あそこでもっと風が強ければとか、たらればになりますが、ダスティンにとっては悔しい一打だったと思います。
松山選手は、1番でチャンスにつけて、2番はバーディを獲り、3番は難しかったですが良いバンカーショットを打ち、良いパーパット打ったんですが、思ったよりも切れてしまいました。4番ではティーショットをフェアウェイの良いところに打ちましたが、セカンドショットがグリーンの下り傾斜に当たり奥に行ってしまいました。もう少し飛んでいたらグリーンに止まって、こぼれてもあんなに悪いライには行っていなかったと思います。4番でバーディを獲れなかった、本人の中では計算していたホールだったと思います。そして5番でダブルボギーを打ってしまったのが、苦しい流れになってしまったのかなと思いました。
攻めたくても攻められないベスページというコースの難しさだったり、耐えないといけないという状況が続いたので、今日は辛い一日というか、我慢の一日だったと思います。その中でも8番や17番は凄いバーディでしたし、最後まで諦めない姿勢もみせてくれました。スコアは良くなかったですが、ゴルフはこういう時もあります。なにより、メジャーで最終組から2組前という順位、好位置で回ることは本当に大事なので、これは必ず次の全米オープンや全英オープン、来年の全米プロで活きてくると思います。
次のメジャーである6月の全米オープンは、ブルックスにとっては3連覇がかかります。人生の中でも乗りに乗っていて、一番のモチベーションで調整してくるでしょう。そんなブルックスを誰が止めるのかですね。会場のペブルビーチGLは、ダスティンとの相性がいいですし、フィル(・ミケルソン)もタイガー(・ウッズ)も好きですからね。もちろん、松山選手も期待できると思います。
いや、毎月メジャーがあるというのは、本当に楽しみですね。
(写真:Getty Images)
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