ヘッドの大型化で変わったツアープロのスイングとは?
2016年1月30日(土)午後5:42
4月26日に緊急来日したゴルフ界最大のスーパースター、タイガーウッズ。
タイガーは、ゴルフネットワークの単独インタビューで、自身のクラブについて、興味深いコメントがありました。
今回は、タイガーの言葉をヒントに、ドライバーの進化で変わるプロのスイングについて、紹介してみたいと思います。
タイガーがデビュー当時、ドライバーは200cc以下
今回の来日に合わせて、タイガーの使用するドライバーが発売になりました。
原宿で行われた来日イベントでは、「僕が来たんだから今日発売してもいいよね?」と、タイガー自身が発売日を一日前倒しするサプライズもあり、大いに盛り上がりました。
現在使用するドライバーについて、タイガーは次のようにコメントしています。
「新しいドライバーは、ヘッドの大きさが420ccしかない。自分は大きなヘッドが好きではないんだ。大きいドライバーだと、右から左の風の時に、ダウンスイングでヘッドに風圧を感じてしまうので、それが好きではないんだ。460ccのドライバーを使った時は、ボールスピードとスイングスピードの両方が遅くなってしまったんだ。」
そして、プロデビュー当時に使用していたヘッド体積が200ccを切るドライバーと比べて、現代の460cc大型チタンヘッドは、「まったく別の哲学がある」と言っています。つまり、ドライバーという同じ道具でありながら、哲学が異なるほど、本質的に大きな違いがあるということです。
【タイガー・ウッズ使用ドライバー】
ヘッドが2倍以上に大型になることで、ミスの許容範囲が広がり、ドライバーは直進性が高くなるとともに、飛距離も伸びるようになりました。このドライバーの大型化は、アマチュアゴルファーだけでなく、プロにも大いに恩恵のある進化でしたが、もともと小さいヘッドでもフェースにスクエアに当てるのがうまく、飛距離が出るタイガーにとっては、かえって大型ヘッドを使いこなす努力が必要だったのです。
【2000年当時のタイガー・ウッズ】(写真提供:Getty Images)
過去のスタッツを見るとタイガーのフェアウェイキープ率は、 250ccのドライバーを使用し、年間8勝を挙げるなど圧倒的な強さを見せていた2000年は71,2%。
しかし、400ccを超えて大型化したドライバーを使用した2008年には、ロコ・メディエイトとの死闘を演じた全米オープン含め年間4勝を挙げながらも57.9%でした。
クラブの直進性が高くなり、やさしくなったにもかかわらず、ドライバーの正確さはむしろ落ちているのがわかります(※パーオン率は両年ともツアー1位)。
今年のマスターズでは最終日こそスコアを伸ばせなかったものの、17位タイでフィニッシュし自身のプレーに手応えを感じたタイガー。今週開催される「ザ・プレーヤーズチャンピオンシップ」をはじめ、6月以降は「ザ・メモリアルトーナメント」、「全米オープン」、「全英オープン」など5試合に出場することを表明。新しい420ccのドライバーを武器にどのようなプレーを見せてくれるか、タイガーに注目です。
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【関連リンク】タイガー・ウッズ単独インタビュー「努力はすればするほど報われる」
現代のクラブの申し子、ジョーダン・スピース
(写真提供:Getty Images)
2015年のマスターズを圧倒的な強さで制したジョーダン・スピースは、1993年生まれ。
ゴルフの技術を培う10代の頃には、すでに400ccを上回る大型チタンヘッドのドライバーを使用していたはずです。
タケ小山プロによれば、スピースは「大型ドライバーが生んだ現代式スイング」の持ち主。
フォロースイングで左肘が曲がり、フェースローテーションをあまり使わないのが特徴です。
【関連リンク】左肘に注目!マスターズを制したJ.スピースのスイング
これまで、この左肘が曲がる動きは、いわゆる悪い動きとされていたものです。タイガーのように左腕が伸びて、大きなフォローを取り、フェースローテーションを積極的に行なって、手首が返っているように見えるのが、これまで正しい動きとされてきました。
しかし、スピースは大型ヘッドのドライバーを、フェースをあまり開かないように上げて、フォローではあまり閉じないように動かしています。
大型ヘッドのドライバーは、パーシモンのような小さいヘッドに比べて、フェースを開閉させるのにむいていません。スピースはそうした大型ヘッドの特性を理解して、その性能を最大限活かしているのです。
使いこなす鍵は重心距離
パーシモン素材のドライバーと、その倍以上大きい現代のチタンドライバーとの最も大きな差のひとつが重心距離です。
重心距離とは、シャフトの中心線からスイートスポット(フェース面上の重心)までの距離。この長さが長いほどフェースが返りにくくなります。
棒状のものは、持つところの延長に重量がある方が扱いやすく、重心距離が長くなるほどクラブの操作はしにくくなるのです。大型化して、性能的にはミスに強くやさしくなった現代のドライバーですが、道具としては扱いにくくなったという側面があります。
パーシモンやステンレス製のメタルドライバーが全盛の頃は、手首を返してボールを打つと言われたものですが、現代のチタンドライバーでは手首を返そうとしても返りにくくなります。ジョーダンスピースのように、フェースの動きを緩やかにしたスイングが、現代のドライバーにマッチするのです。
現代のプロゴルファーは、フェースを閉じ気味に上げ、閉じ気味に下ろすシャットフェースのスイングをする選手が増えてきました。ダウンスイングでクラブフェースが少し地面の方向を向いているのがわかります。スピースのような大型チタンヘッドで育った若い選手がこれからさらに台頭してくると、その傾向はさらに顕著になるでしょう。
小さなヘッドでゴルフを覚えたベテランゴルファーの中には、ドライバーが右にいって仕方がないという人が少なくないと思います。その場合は、タイガー・ウッズのように小ぶりで重心距離の短いタイプのドライバーを選択すると、フェースがしっかりと返るので良い結果になるでしょう。ぜひ試してみてください。
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