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「FWとUTの選び方」コースに合わせてクラブを変えた全米OP覇者 J・スピースの選択とは? 

2015年8月13日(木)午後1:34

最終日の混戦の中、マスターズ覇者のジョーダン・スピースが抜け出し、メジャー2連勝を果たした今年の全米オープン。

大いに物議をかもした開催コースのワシントン州チェンバーズベGCは、スコットランドのリンクス風のゴルフ場。しかし、大きな高低差があり、砕石場跡地に作ったということもあり、本場のリンクスコースとは違う、独特の特徴を持ったようです。

コースがいつものトーナメントと大きく異なるため、選手のセッティングにもいつもとは違う工夫が見られました。

代表的なのが、優勝したスピース。

【全米オープンで使用したアイアン型ユーティリティ(写真提供:Getty Images)】

いつものセッティングは、ドライバー、スプーン、20.5度のウッド型ユーティリティ、そしてアイアンは4番からというもの。しかし、全米オープンでは20.5度のウッド型ユーティリティを抜き、21度の中空構造のアイアン型ユーティリティをバッグに入れていました。

グリーンを含めた地面が非常に硬いのが大きな特徴だったチェンバーズベイ。

普段、PGAツアーが行われるコースでは、長い距離を超高弾道のボールでグリーンに止める技術が必要ですが、今回の場合はグリーン上で止めることはなかなか難しく、手前から長いランを使って転がして寄せていくようなショットが求められました。

スピースが、ウッド型からアイアン型にユーティリティーを変更したのもそんな理由からだと推測されます。ウッド型のほうが高くボールをあげることが出来ま、アイアン型は少ないスピン量でライナー性のボールになりやすくなります。

他の選手にも2番アイアンや、中には1番アイアンをバッグに入れているケースもありましたが、同様の理由によるものでしょう。低いボールでコントロールするには、アイアンのほうが打ちやすくなります。

プロはクラブの特徴を理解し、コースによって使い分けています。今回は、フェアウェイウッドか、ユーティリティか、ロングアイアンか。その特徴と選び方を紹介します。

フェアウェイウッドとユーティリティー、それぞれの利点とは?

まずは、フェアウェイウッドの特徴を紹介します。

フェアウェイウッドの一番の利点はヘッドが大きいことです。その分、重心位置が深くなるため、バックスピンがかかりやすく、高弾道のボールが打ちやすくなるのが特徴です。

ユーティリティーやロングアイアンに比べるとシャフトも長くできます。その結果ヘッドスピードが上がりやすくなります。同じくらいのロフト角になる3番アイアンと7番ウッドでは、多くの場合、7番ウッド=41.5インチ、3番アイアン=39インチと2インチ以上の差があります。

この長さが違うことで、ヘッドスピードがアップし、同じロフト角のロングアイアンやユーティリティーに比べると、ボールが上がりやすくなります。ボールが上がりにくいゴルファーには強い武器になる反面、強風などの場合はボールをコントロールしにくくなるおそれもあります。

一方、海外ではハイブリッドと呼ばれることも多い、ユーティリティの特徴は、次のように言えます。

ヘッドはフェアウェイウッドほど大きくなく、シャフトも短いので、アイアンに近い感覚で打つことが出来ます。ボールは上がりやすいですが、重心位置はウッドよりも浅めで、いくぶん弾道の高さが抑えられ、強いボールになりやすいと言えます。

ミスの許容範囲はロングアイアンよりも大きく、ウッド型ユーティリティーのほうが、アイアン型ユーティリティーよりもよりミスに強い傾向があります。ロングアイアンよりもやさしく、なおかつ風に強いボールが打ちやすいため、プロはユーティリティーを好んで入れるケースが多いようです。

【普段はウッド型のユーティリティーを使用しているスピースだが(写真提供:Getty Images)】

全米オープンで優勝したJ・スピースが、普段使用するウッド型のユーティリティーは、特性がフェアウェイウッドに近く、高いボールを打つことが出来ます。今回、全米オープンで使用したアイアン型のユーティリティーは、ロフト角はほとんど変わりませんが、同じように打っても、より低い球になります。この辺りの微妙なチョイスはまさにプロならではです。

ウッドやユーティリティーではなく、2番や3番アイアンなど、ロングアイアンを入れているプロも少数派ながら存在します。 ボールが上がりにくいので、パワーがあり、なおかつショットの正確さにも自信を持っているプレーヤーがロングアイアンを好んで使います。世界ランキング1位のローリー・マキロイはその典型で、3番アイアンからバッグに入れています。

選ぶときのポイント

一般的なゴルファーなら、5番ウッドと5番アイアンのあいだの距離を打つクラブとして、ユーティリティーかロングアイアン、あるいは7番ウッドなどのショートウッドを選択するでしょう。

同じロフト角であれば、ボールの上がりやすさは、フェアウェイウッド>ユーティリティ>ロングアイアンとなります。
飛距離は、ヘッドスピードが遅めの人や女性ゴルファーは、ボールが上がりやすいウッドのほうが飛ぶ可能性がありますが、パワーのある方は吹け上がって飛距離をロスしてしまうので、ユーティリティーやロングアイアンのほうが飛ぶ可能性があります。どのクラブが最も効率よく飛距離を出せるかは、それぞれのゴルファーによって違うのです。

そのため、セットの中に入れて飛距離の階段が作れるように、まずは飛ぶ距離を把握してバッグに入れるのが大切です。

そして、弾道の高さも考えます。グリーンを狙う場合に高いキャリーボールで狙う方がイメージしやすいのか、手前の花道から転がっていく方がイメージしやすいのかなど、よくいくゴルフ場で打ちやすいものを選びます。

直接、グリーンに止めたいなら、高くボールがあがるクラブがよいでしょう。風の強いゴルフ場であれば、弾道は低くなるクラブを持ちたくなるはずです。弾道の高低を打ち分けるのは、上級テクニックですがクラブを変えると簡単に出来てしまいます。

なんとなく選ぶのではなく、どういった場面でどんな弾道を打ちたいかをイメージすると、より実戦的なクラブ選びになります。ジョーダン・スピースを見習って、コースに応じたクラブを選んでみましょう。

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