井戸木、米初参戦でメジャー制覇! 5打差を大逆転
2013年5月27日(月)午前11:32
井戸木鴻樹が初挑戦の大舞台で劇的な逆転優勝を飾った。
米チャンピオンズツアーのメジャーシーズン初戦、シニアPGA選手権は現地時間26日、ミズーリ州セントルイスのベルリーブGCを舞台に最終ラウンドの競技を終了。米男子ツアー通算14勝のケニー・ペリー(米)に5打差の5位タイからスタートした井戸木はノーボギーの6アンダー65をマークする猛チャージで通算11アンダーまで伸ばすと、後半崩れたペリーとジェイ・ハース(米)に2打差をつけ先頭でゴールを駆け抜けた。
後続にはメジャー2勝のマーク・オメーラ(米)、マスターズ2勝のベルンハルト・ランガー(独)、かつて新帝王と呼ばれたトム・ワトソン(米/28位タイ)ら錚々たる顔ぶれが揃っていた。その中でアメリカ本土初上陸の井戸木がとんでもない快挙をやってのけた。
フロントナイン終了時点ではペリーに3打のリードを許したが、バックナインに入るとペリーが失速。13番でダブルボギーを叩いたペリーに対して井戸木が14番でバーディを奪って並ぶと、焦ったペリーは16番、17番で手痛い連続ボギー。17番パー5できっちりバーディを決めた井戸木が最終ホールをパーで締めくくり、ただひとり2桁アンダーまで伸ばして栄冠を勝ち取った。
どんなときも笑顔を絶やさない51歳。海外メディアには「小柄ながらパワーゴルフ主流のツアーで長年活躍。フェアウェイキープ率はレギュラーツアー時代から10年連続でNo.1の座をキープしている」と紹介されたが、現地のギャラリーにとってはまったく無名の存在。167センチの小さな体で大男たちをなぎ倒し、会場には“ドッキー(井戸木の愛称)旋風”が吹き荒れた。
ウイニングパットを沈めると待ち構えていた尾崎直道と室田淳からビールシャワーで手荒い祝福を受け、トレードマークの笑顔が全開。「アメリカで勝つなんて、想像もしていなかった。最後の最後までまさか勝つとは思っていなかった。この状況が自分でもよく飲み込めていない」とビッグタイトル獲得が信じられないといった様子の井戸木。「大勢のギャラリーが応援してくれて本当に嬉しかった。(尾崎)直道さんに(出場を)誘ってもらわなければこの優勝はない。感謝している」と謝辞を述べた。
その他の主な選手では、通算8アンダー単独4位にオメーラ、通算7アンダー単独5位に室田が入り、ランガーは通算4アンダー13位タイ。この日2アンダー69にスコアをまとめた尾崎は通算3アンダー単独19位で4日間の競技を終了。高見和宏は通算4オーバー53位タイにとどまった。