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日本女子ゴルフの進化が止まらない!桑木志帆の快挙に「次はグランドスラム」【岡本綾子のAIG女子オープンアフタートーク】
2026年8月13日(木)午前11:08

桑木志帆選手が海外メジャー初優勝を果たした第50回AIG女子オープンゴルフ選手権。同大会を4日間生中継したCSゴルフネットワークで解説を務めた2005年世界ゴルフ殿堂入りの岡本綾子プロに、中継終了後桑木選手の快挙と近年の日本勢の活躍についてお話を聞きました(聞き手:田中雄介アナウンサー)。
田中:日本女子のメジャー優勝が続く時代になりましたね。渋野日向子選手が勝って、その後は笹生優花選手が全米女子オープンを2度制して、古江彩佳選手、西郷真央選手、昨年の山下美夢有選手、そして今回の桑木志帆選手と続いています。その前には樋口久子さんがいますが。
岡本:樋口さんの時代はもう昔ですから(笑)。だから私の中ではやっぱり渋野選手からなんですよ。渋野選手の全英、それから笹生選手の全米女子オープン。そういう流れがありますね。
田中:今年もAIG女子オープンを中継でご一緒しましたけど、岡本さんがおっしゃったことがそのまま試合で起きる場面が本当に多かったんです。「今年はネリー・コルダやユ・ヘランのようなメジャーを何度も勝っている選手は勝たない気がする」とおっしゃっていましたし、その後の展開も本当にその通りになっていきました。
岡本:そうですか(笑)。でも私は直感というより、選手の立場になって考えることが多いんです。自分だったらどうするか、自分なら何を考えるかって。正直に言えば、大会前は桑木選手が優勝するイメージはありませんでした。でも予選ラウンド後半くらいから「この子、いいな」と思ったんです。淡々とプレーしているんですよね。このコースは派手に攻めるより、そういうゴルフのほうが合うんじゃないかなという印象がありました。
田中:2019年に渋野選手が勝った時は、12番ホールがものすごく重要になると数ホール前からおっしゃっていました。今年は「ここが勝負」というホールはありましたか。
岡本:桑木選手については特になかったですね。でもネリー・コルダ選手やユ・ヘラン選手についてはありました。あの選手たちはプレースタイルが分かるので、「このホールではこういうミスが出るかな」というイメージができるんです。そして意外とその通りになりました。だから私は、「(桑木選手は)パーで耐えればいい」という見方をしていました。
田中:メジャー3連勝がかかっていたユ・ヘラン選手は一時9アンダーまで伸ばしましたけど、そのあと崩れました。
岡本:印象に残ったのはユ・ヘラン選手のポットバンカーです。サンドウェッジを使って、真ん中へ1mほど出しましたよね。私はあれが解せないんです。もちろん先入観もありますけど、真ん中へ置きたいだけなら、私はパターを使います。でも彼女はロフトのあるサンドウェッジで打って、そのままクラブを替えずに次も打ちました。あれはキャディーとどういう話をしていたのかな、とずっと考えながら見ていました。
田中:リスクがありますからね。
岡本:男子の全英オープンでもそうですし、昔からリンクスではまず安全な場所へ出します。1メートルくらい転がして、どちらにもスイングできる場所まで出すとか、後ろへ出すとか、横へ出すとか。そういうゴルフをたくさん見てきましたから。だから「あの顎(の高さ)で、なんで真ん中なんだろう」と思いました。
田中:アメリカのメジャーと全英女子オープンでは、勝ち方そのものが違うということですね。
岡本:違います。例えばチャーリー・ハル選手は、グリーンの30ヤード手前からでもパターを使います。カラーから5ヤードでも10ヤードでも、20ヤードあっても転がすことがあります。ヨーロッパ育ちの選手は、転がして攻めることが当たり前なんです。テキサスウェッジですね。一方で、アメリカ育ちの選手はウェッジを使います。でも、その感覚はネリー・コルダ選手にはまだない。だから世界ランキング1位でも、リンクスでは苦しむことがあるんです。

田中:そんな中で、日本勢が結果を出せた理由は何でしょう。今年の全米女子オープンでは優勝争いに絡めなかった日本勢が、今度は全英で勝ちました。
岡本:桑木選手のゴルフは、これまで詳しく見ていたわけではありません。でも今回見ていて「こんなにドライバーが曲がらない選手なんだ」ということが分かりました。逆に山下選手は、本来あんなに曲がる選手ではありません。今年は左にも右にも曲がっていました。途中から右へのプッシュアウトになって、自分でも修正できなくなっていましたね。本当に悔しかったと思います。それともうひとつ感じたのは、飛距離の管理です。ドライバーも3番ウッドも、ティーアップの高さひとつで飛距離は変わります。高めにティーアップした3番ウッドなのか、ほとんど地面から打つような低いティーアップなのか。打ち出し角も変われば飛距離も変わる。そういう1ヤード単位の違いまで自分で把握している選手は、もっと強くなると思います。
田中:今年の大会は、勝負を分けた1打というより、コース全体のセッティングが難しかった印象もあります。
岡本:そうですね。グリーンは大きいんですけど、ピンポジションは意外と平らなところではないんです。下りの始まりだったり、傾斜の途中だったり、ショートアイアンでも止めるのが難しいところでした。フェアウェイは硬くしてあって、グリーンは比較的止まる。もしグリーンまで硬かったら、優勝スコアはイーブンパーくらいだったかもしれません。フェアウェイからならスピンで止められる。でもラフからは止まらない。さらに、同じヒース(ラフの芝種)でもギャラリーに踏まれた場所と、長いヒースの上にボールが乗っている場所では、ヘッドの抜け方も違います。そういう細かい違いが、すごく影響した大会だったと思います。
田中:最近のJLPGAは海外を意識してピンポジションを難しくしているとも言われています。
岡本:その通りです。私もコースセッティングをしますけど、「変なところに切りすぎだ」と言われることがあります(笑)。でも私は「まず数字を出してから、文句を聞いてあげるから」と言うんです。例えばグリーンが柔らかければ端へ切る。グリーンを硬めにして、ショートアイアンを持ってもこぼれるようなら、スピン量を考えて打ちなさい、ということです。それから、フェアウェイの右センターに置けば対角線で狙えてバーディーが獲りやすい。そういう考え方まで含めて選手に経験してもらいたいんです。
田中:優勝インタビューでは桑木選手が「チームジャパン」という言葉も使っていました。
岡本:あれは自然に出た言葉じゃないですか。でも日本勢はみんな同じじゃありません。ゴルフスタイルはそれぞれ違います。飛距離で勝負する選手もいれば、ショートゲームが武器の選手もいる。パッティングは水ものと言いますけど、ショートゲームは水ものじゃありません。あれは技術です。ショートゲームが上手くなれば平均ストロークも良くなるし、ベアトロフィーだって狙える。何を目標にするかは選手それぞれですが、そういう武器を磨いていけば、日本女子はもっと強くなると思います。
田中:ここまでくると、日本人による年間グランドスラムまで期待したくなります。
岡本:期待したいですね。あと2、3年なのか、4、5年なのかは分かりません。でも「日本人が年間グランドスラムを狙えるんじゃないか」と言われる時代になったこと自体がすごいことなんです。LPGAの長い歴史でも達成した選手は本当にわずかです。それでも、日本の選手たちには、そんな夢を見させてほしいですね。
田中:日本女子ゴルフは間違いなくその礎を築いています。その道を切り開いてきた岡本綾子さん、今年も4日間本当にありがとうございました。
岡本:白髪を見てそんなこと言ってるんですか(笑)。
田中:そんなことありません(笑)。
田中:日本女子のメジャー優勝が続く時代になりましたね。渋野日向子選手が勝って、その後は笹生優花選手が全米女子オープンを2度制して、古江彩佳選手、西郷真央選手、昨年の山下美夢有選手、そして今回の桑木志帆選手と続いています。その前には樋口久子さんがいますが。
岡本:樋口さんの時代はもう昔ですから(笑)。だから私の中ではやっぱり渋野選手からなんですよ。渋野選手の全英、それから笹生選手の全米女子オープン。そういう流れがありますね。
田中:今年もAIG女子オープンを中継でご一緒しましたけど、岡本さんがおっしゃったことがそのまま試合で起きる場面が本当に多かったんです。「今年はネリー・コルダやユ・ヘランのようなメジャーを何度も勝っている選手は勝たない気がする」とおっしゃっていましたし、その後の展開も本当にその通りになっていきました。
岡本:そうですか(笑)。でも私は直感というより、選手の立場になって考えることが多いんです。自分だったらどうするか、自分なら何を考えるかって。正直に言えば、大会前は桑木選手が優勝するイメージはありませんでした。でも予選ラウンド後半くらいから「この子、いいな」と思ったんです。淡々とプレーしているんですよね。このコースは派手に攻めるより、そういうゴルフのほうが合うんじゃないかなという印象がありました。
田中:2019年に渋野選手が勝った時は、12番ホールがものすごく重要になると数ホール前からおっしゃっていました。今年は「ここが勝負」というホールはありましたか。
岡本:桑木選手については特になかったですね。でもネリー・コルダ選手やユ・ヘラン選手についてはありました。あの選手たちはプレースタイルが分かるので、「このホールではこういうミスが出るかな」というイメージができるんです。そして意外とその通りになりました。だから私は、「(桑木選手は)パーで耐えればいい」という見方をしていました。
田中:メジャー3連勝がかかっていたユ・ヘラン選手は一時9アンダーまで伸ばしましたけど、そのあと崩れました。
岡本:印象に残ったのはユ・ヘラン選手のポットバンカーです。サンドウェッジを使って、真ん中へ1mほど出しましたよね。私はあれが解せないんです。もちろん先入観もありますけど、真ん中へ置きたいだけなら、私はパターを使います。でも彼女はロフトのあるサンドウェッジで打って、そのままクラブを替えずに次も打ちました。あれはキャディーとどういう話をしていたのかな、とずっと考えながら見ていました。
田中:リスクがありますからね。
岡本:男子の全英オープンでもそうですし、昔からリンクスではまず安全な場所へ出します。1メートルくらい転がして、どちらにもスイングできる場所まで出すとか、後ろへ出すとか、横へ出すとか。そういうゴルフをたくさん見てきましたから。だから「あの顎(の高さ)で、なんで真ん中なんだろう」と思いました。
田中:アメリカのメジャーと全英女子オープンでは、勝ち方そのものが違うということですね。
岡本:違います。例えばチャーリー・ハル選手は、グリーンの30ヤード手前からでもパターを使います。カラーから5ヤードでも10ヤードでも、20ヤードあっても転がすことがあります。ヨーロッパ育ちの選手は、転がして攻めることが当たり前なんです。テキサスウェッジですね。一方で、アメリカ育ちの選手はウェッジを使います。でも、その感覚はネリー・コルダ選手にはまだない。だから世界ランキング1位でも、リンクスでは苦しむことがあるんです。

田中:そんな中で、日本勢が結果を出せた理由は何でしょう。今年の全米女子オープンでは優勝争いに絡めなかった日本勢が、今度は全英で勝ちました。
岡本:桑木選手のゴルフは、これまで詳しく見ていたわけではありません。でも今回見ていて「こんなにドライバーが曲がらない選手なんだ」ということが分かりました。逆に山下選手は、本来あんなに曲がる選手ではありません。今年は左にも右にも曲がっていました。途中から右へのプッシュアウトになって、自分でも修正できなくなっていましたね。本当に悔しかったと思います。それともうひとつ感じたのは、飛距離の管理です。ドライバーも3番ウッドも、ティーアップの高さひとつで飛距離は変わります。高めにティーアップした3番ウッドなのか、ほとんど地面から打つような低いティーアップなのか。打ち出し角も変われば飛距離も変わる。そういう1ヤード単位の違いまで自分で把握している選手は、もっと強くなると思います。
田中:今年の大会は、勝負を分けた1打というより、コース全体のセッティングが難しかった印象もあります。
岡本:そうですね。グリーンは大きいんですけど、ピンポジションは意外と平らなところではないんです。下りの始まりだったり、傾斜の途中だったり、ショートアイアンでも止めるのが難しいところでした。フェアウェイは硬くしてあって、グリーンは比較的止まる。もしグリーンまで硬かったら、優勝スコアはイーブンパーくらいだったかもしれません。フェアウェイからならスピンで止められる。でもラフからは止まらない。さらに、同じヒース(ラフの芝種)でもギャラリーに踏まれた場所と、長いヒースの上にボールが乗っている場所では、ヘッドの抜け方も違います。そういう細かい違いが、すごく影響した大会だったと思います。
田中:最近のJLPGAは海外を意識してピンポジションを難しくしているとも言われています。
岡本:その通りです。私もコースセッティングをしますけど、「変なところに切りすぎだ」と言われることがあります(笑)。でも私は「まず数字を出してから、文句を聞いてあげるから」と言うんです。例えばグリーンが柔らかければ端へ切る。グリーンを硬めにして、ショートアイアンを持ってもこぼれるようなら、スピン量を考えて打ちなさい、ということです。それから、フェアウェイの右センターに置けば対角線で狙えてバーディーが獲りやすい。そういう考え方まで含めて選手に経験してもらいたいんです。
田中:優勝インタビューでは桑木選手が「チームジャパン」という言葉も使っていました。
岡本:あれは自然に出た言葉じゃないですか。でも日本勢はみんな同じじゃありません。ゴルフスタイルはそれぞれ違います。飛距離で勝負する選手もいれば、ショートゲームが武器の選手もいる。パッティングは水ものと言いますけど、ショートゲームは水ものじゃありません。あれは技術です。ショートゲームが上手くなれば平均ストロークも良くなるし、ベアトロフィーだって狙える。何を目標にするかは選手それぞれですが、そういう武器を磨いていけば、日本女子はもっと強くなると思います。
田中:ここまでくると、日本人による年間グランドスラムまで期待したくなります。
岡本:期待したいですね。あと2、3年なのか、4、5年なのかは分かりません。でも「日本人が年間グランドスラムを狙えるんじゃないか」と言われる時代になったこと自体がすごいことなんです。LPGAの長い歴史でも達成した選手は本当にわずかです。それでも、日本の選手たちには、そんな夢を見させてほしいですね。
田中:日本女子ゴルフは間違いなくその礎を築いています。その道を切り開いてきた岡本綾子さん、今年も4日間本当にありがとうございました。
岡本:白髪を見てそんなこと言ってるんですか(笑)。
田中:そんなことありません(笑)。
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7月30日(木)~8月2日(日)
















