国内男子
出会いから20余年、チームセリザワで一緒に戦って来た藤田寛之と宮本勝昌のラウンジトーク
2019年6月19日(水)午後3:07
16日に50歳の誕生日を迎えた藤田寛之と、中日クラウンズで“令和初の優勝”を収めた宮本勝昌。出会いから20余年、ともに芹澤信雄を師と仰ぐ「チームセリザワ」メンバーの2人が、CS放送ゴルフネットワークで放送中「ゴルフ真剣勝負 the MATCH〜藤田寛之vs宮本勝昌〜」でラウンジトーク。プロゴルファーとして輝かしいキャリアを誇る2人が、師匠との出会いからこれからのことなどをざっくばらんに語り合いました。
藤田 トメちゃん(宮本プロの愛称)ちゃんとはチームセリザワの仲間として長い間一緒にやって来たんだけど、芹澤(信雄)プロとの出会いはトメちゃんのほうが早いんだよね。
宮本 そうですね。叔父の紹介で初めてラウンドさせてもらったのは高3のときでした。大学時代にも2回ほどラウンドして、今のような形になったのはプロになってからです。藤田さんはいつからですか?
藤田 僕はプロになってから。しばらく結果が出なくて悩んでいたら、同じ九州出身の吉村金八プロから、「セリ(芹澤)のところに行ったら?」という話をいただいて。初めて練習ラウンドをさせてもらったのは95年の三菱ギャランだった。
宮本 その時、何かビビッとくるものがあったんですか?
藤田 せっかくだから一つだけ質問をしようと思って、「ゴルフのスイングにタメは必要ですか?」って聞いたら、「タメはいらない」との返事が返ってきて、そこからいきなりレッスンが始まって…。
宮本 どんなレッスンだったんですか?
藤田 まずドライバーは、ティーアップの高さを半分にして打って見ろと。それとアイアンはスライスを打てと言われたんだよね。ただ、それまでは高いティーアップでインからカチ上げて打っていたから、いきなりスライスを打てと言われてもね。でもそのときは、芹澤プロを信じてやるしかなかった。
宮本 それが今の藤田さんのスイングにつながっているんですね。もし、芹澤プロのレッスンを受けていなかったらどうなっていたでしょうね。
藤田 間違いなく今の藤田寛之はいなかった。出会ってから2年間は練習、練習の日々だったけど、97年あたりからボチボチ結果が出始めたからね。
宮本 やり続けることは大事なんですね。
藤田 そう言えばトメちゃんもドローからフェードに変えたんだよね。
宮本 そうです。僕も最初に7番アイアンでティーアップしてスライスを打てと言われたんですよ。でも、ドローヒッターがいきなりスライスは打てないですよね。それで困っていたら藤田さんが来て、「こうやって体を使えばいいんじゃない」ってアドバイスをくれて、何とかなりました。
藤田 トメちゃんも芹澤プロに出会ってなかったら今の宮本勝昌プロはいなかったかもね。
宮本 間違いないです。プッシュアウトとチーピンに苦しむゴルフ人生を送っていたと思いますよ(笑)。
藤田 ゴルフはもちろんだけど、芹澤プロと出会っていい仲間ができたというのも大きな財産だよね。
宮本 年齢も学校も違う選手が集うグループというのが今は少なくなっていますからね。最低限の礼儀を守りつつ、練習はもちろん、ご飯を食べたり、ワイワイ騒いだりというグループはいいですよね。
藤田 仲が良すぎてCD(曲名「We DO TEAM SERIZAWA」)まで出しちゃったもんね(笑)。
宮本 いや~、あれにはビックリしましたね。僕の記憶では、CDなんてジャンボ(尾崎)さんと倉本さんぐらいしか出していないと思いますよ。
藤田 歌っているメンバーはともかく、良い曲だよね。
宮本 聞いていて心地良い曲ですよね。ただ、メインボーカルは上井(邦裕)君と高柳(直人)君で、芹澤、藤田、宮本はどこにいるんだって感じですよね(笑)。
藤田 良く言えばバックコーラスなんだけどね。ぜひ聞いてもらって、どの部分で歌っているか捜してもらいたいよね。正直、僕らにも分からないんだけど(笑)
藤田 中日クラウンズの優勝おめでとう。歴史と伝統のある大会だから、喜びも大きかったんじゃない。
宮本 はい。歴代優勝者を見ても蒼々たる人たちばかりですからね。僕のイメージでも中日クラウンズといえば、しっかりゲームメイクができて、アイアンショットもキレキレで、ショートゲームも抜群に上手い人じゃないと優勝できない大会で、僕が優勝できない3大トーナメントの一つだと思っていましたからね。ホント、夢みたいです。
藤田 しかも令和最初の優勝。タイミングも良かったよね。優勝したときなんて言ってたっけ?
宮本 「昭和の男が令和でやりました」ですか?
藤田 それそれ。上手いこと言ったよね。
宮本 プロ野球にしろJリーグにしろ、何かあるたびに「令和第一号」、「令和最初の○○」と言われていたんで、ここで頑張ればマスコミに大きく扱ってもらえるかなと思って(笑)。
藤田 優勝自体も劇的だったよね。オレは最終日、(今平)周吾と回っていて、周吾は本調子じゃなさそうだったんだけど、ジワジワとスコアを上げてきててね。その周吾が17番でバーディーを取って9アンダーになったときは(ちなみに宮本プロは13番を終えて8アンダー)、「ちょっと待ってよ周吾。宮本さんが後ろで頑張ってんだから」って言いたくなったよ(笑)。最終的に周吾が18番でボギーを打ってくれて並んだんだけど、最後までドキドキだったよ。
宮本 あのときはみんなの前で優勝できたというのも嬉しかったですね。あの日は、芹澤プロや藤田さん、それに後輩の上井君や高柳君もいてくれて。ちょうど家族も呼んでいたし。何回か優勝しているけど、なかなかみんなの前で勝つことってないんですからね。みんな予選落ちして1人ぼっちなんてときもありますしね。
藤田 そういう意味じゃすべてが良かったよね。ホント、いい優勝だった。
宮本 でも一つ心残りが…。芹澤プロから、「優勝した次の試合は絶対に予選落ちするなよ」って口が酸っぱくなるくらい言われているのに、翌週予選落ちしてしまって。絶対落ちないようにしようと思ったんですけどね。
藤田 逆にそれがプレッシャーになったんじゃない?
宮本 そういうことにしておきましょう。
師匠との出会いがなければ今の自分たちはいなかった
藤田 トメちゃん(宮本プロの愛称)ちゃんとはチームセリザワの仲間として長い間一緒にやって来たんだけど、芹澤(信雄)プロとの出会いはトメちゃんのほうが早いんだよね。
宮本 そうですね。叔父の紹介で初めてラウンドさせてもらったのは高3のときでした。大学時代にも2回ほどラウンドして、今のような形になったのはプロになってからです。藤田さんはいつからですか?
藤田 僕はプロになってから。しばらく結果が出なくて悩んでいたら、同じ九州出身の吉村金八プロから、「セリ(芹澤)のところに行ったら?」という話をいただいて。初めて練習ラウンドをさせてもらったのは95年の三菱ギャランだった。
宮本 その時、何かビビッとくるものがあったんですか?
藤田 せっかくだから一つだけ質問をしようと思って、「ゴルフのスイングにタメは必要ですか?」って聞いたら、「タメはいらない」との返事が返ってきて、そこからいきなりレッスンが始まって…。
宮本 どんなレッスンだったんですか?
藤田 まずドライバーは、ティーアップの高さを半分にして打って見ろと。それとアイアンはスライスを打てと言われたんだよね。ただ、それまでは高いティーアップでインからカチ上げて打っていたから、いきなりスライスを打てと言われてもね。でもそのときは、芹澤プロを信じてやるしかなかった。
宮本 それが今の藤田さんのスイングにつながっているんですね。もし、芹澤プロのレッスンを受けていなかったらどうなっていたでしょうね。
藤田 間違いなく今の藤田寛之はいなかった。出会ってから2年間は練習、練習の日々だったけど、97年あたりからボチボチ結果が出始めたからね。
宮本 やり続けることは大事なんですね。
藤田 そう言えばトメちゃんもドローからフェードに変えたんだよね。
宮本 そうです。僕も最初に7番アイアンでティーアップしてスライスを打てと言われたんですよ。でも、ドローヒッターがいきなりスライスは打てないですよね。それで困っていたら藤田さんが来て、「こうやって体を使えばいいんじゃない」ってアドバイスをくれて、何とかなりました。
藤田 トメちゃんも芹澤プロに出会ってなかったら今の宮本勝昌プロはいなかったかもね。
宮本 間違いないです。プッシュアウトとチーピンに苦しむゴルフ人生を送っていたと思いますよ(笑)。
藤田 ゴルフはもちろんだけど、芹澤プロと出会っていい仲間ができたというのも大きな財産だよね。
宮本 年齢も学校も違う選手が集うグループというのが今は少なくなっていますからね。最低限の礼儀を守りつつ、練習はもちろん、ご飯を食べたり、ワイワイ騒いだりというグループはいいですよね。
藤田 仲が良すぎてCD(曲名「We DO TEAM SERIZAWA」)まで出しちゃったもんね(笑)。
宮本 いや~、あれにはビックリしましたね。僕の記憶では、CDなんてジャンボ(尾崎)さんと倉本さんぐらいしか出していないと思いますよ。
藤田 歌っているメンバーはともかく、良い曲だよね。
宮本 聞いていて心地良い曲ですよね。ただ、メインボーカルは上井(邦裕)君と高柳(直人)君で、芹澤、藤田、宮本はどこにいるんだって感じですよね(笑)。
藤田 良く言えばバックコーラスなんだけどね。ぜひ聞いてもらって、どの部分で歌っているか捜してもらいたいよね。正直、僕らにも分からないんだけど(笑)
昭和の男が令和で優勝!でも心のこりがひとつ・・・
藤田 中日クラウンズの優勝おめでとう。歴史と伝統のある大会だから、喜びも大きかったんじゃない。
宮本 はい。歴代優勝者を見ても蒼々たる人たちばかりですからね。僕のイメージでも中日クラウンズといえば、しっかりゲームメイクができて、アイアンショットもキレキレで、ショートゲームも抜群に上手い人じゃないと優勝できない大会で、僕が優勝できない3大トーナメントの一つだと思っていましたからね。ホント、夢みたいです。
藤田 しかも令和最初の優勝。タイミングも良かったよね。優勝したときなんて言ってたっけ?
宮本 「昭和の男が令和でやりました」ですか?
藤田 それそれ。上手いこと言ったよね。
宮本 プロ野球にしろJリーグにしろ、何かあるたびに「令和第一号」、「令和最初の○○」と言われていたんで、ここで頑張ればマスコミに大きく扱ってもらえるかなと思って(笑)。
藤田 優勝自体も劇的だったよね。オレは最終日、(今平)周吾と回っていて、周吾は本調子じゃなさそうだったんだけど、ジワジワとスコアを上げてきててね。その周吾が17番でバーディーを取って9アンダーになったときは(ちなみに宮本プロは13番を終えて8アンダー)、「ちょっと待ってよ周吾。宮本さんが後ろで頑張ってんだから」って言いたくなったよ(笑)。最終的に周吾が18番でボギーを打ってくれて並んだんだけど、最後までドキドキだったよ。
宮本 あのときはみんなの前で優勝できたというのも嬉しかったですね。あの日は、芹澤プロや藤田さん、それに後輩の上井君や高柳君もいてくれて。ちょうど家族も呼んでいたし。何回か優勝しているけど、なかなかみんなの前で勝つことってないんですからね。みんな予選落ちして1人ぼっちなんてときもありますしね。
藤田 そういう意味じゃすべてが良かったよね。ホント、いい優勝だった。
宮本 でも一つ心残りが…。芹澤プロから、「優勝した次の試合は絶対に予選落ちするなよ」って口が酸っぱくなるくらい言われているのに、翌週予選落ちしてしまって。絶対落ちないようにしようと思ったんですけどね。
藤田 逆にそれがプレッシャーになったんじゃない?
宮本 そういうことにしておきましょう。
ゴルフは何歳まで続ける?「“70歳超えて68で回るんだって”って言われてそうですけど(宮本)」「トメちゃんも変わってきたよね(藤田)」
宮本 藤田さんも6月で50歳になったわけですが、ゴルフは何歳までやるつもりなんですか?
藤田 ハッキリ決めていたわけじゃないけど、実は60歳までと思っていたんだよね。ところが芹澤プロが今年60歳でまだまだこれからって感じでしょう。だから僕ももうちょっとやらなきゃんって。
宮本 いくつまでやるかってことに関しては、藤田さんは青木(功)会長と同じタイプだと思っているんですけど。
藤田 何? 青木会長って。
宮本 性格やプレースタイルが似ているということじゃなくて、青木会長と同じようにゴルフが好きで、いくつになってもプレーしているという点で似ていると思うんですよね。
藤田 確かにゴルフは好きだけどね。ただ最近、辛いと思うようになったんだよね。試合の結果もそうだし、肉体的にも技術的にも自分の思い通りにならないことが多くなってきて、ちょっとキツいなと。
宮本 藤田さんの場合、賞金王(12年)になった人の苦悩というのがあるんじゃないですか。下手なプレーは見せられないみたいな。
藤田 あるのかな? 自分では分からないけど。
宮本 でも、なんだかんだ言って、「苦しい、辛い」とか言いながら、70歳になっても試合に出て、みんなから、「藤田さんまだ68で回るんだってよ」てなことを言われていそうですけどね(笑)。
藤田 そうかな? 実はもう一つ、辛いと思う理由があってね。それは同世代の連中がシニアツアーに出て楽しそうにゴルフをやっていること。みんなあんなに楽しそうにゴルフをやっているのに、なんでオレだけ辛い思いをしないといけないのって。
宮本 確かに、桑原(克典)さんも手嶋(多一)さんも楽しそうにプレーしていますもんね。それに比べて藤田さんは、レギュラーツアーに参戦している限り苦しくて悔しい戦いは続きますからね。でも、そういうのって嫌いじゃないでしょう?
藤田 まあね。どっちかというと好きかも。
宮本 ストイックなんですよ、藤田さんは(笑)。それが証拠に、練習のあるなしに関わらずいつも葛城(ゴルフ倶楽部)にいるじゃないですか。
藤田 確かにいる(笑)。葛城にいると何故か落ち着くんだよね。同じ“落ち着く”でも家のリビングとはちょっと違うんだけど、ゴルフをやっていなくてもあそこにいると落ち着く。
宮本 葛城が自分の居場所になっているんですよ。
藤田 そうかもね。で、トメちゃんはいつまでやるの?
宮本 僕も最初は藤田さんと一緒でした。どの段階でシニアに行くかは決めていませんでしたが、とにかく60歳までは頑張ろうと。でも、60歳になる年に手術までしてもう一回頑張ろうとしている師匠を目の前にすると、60歳で引退はないのかなと。そもそも僕のゴルフ人生、これまで芹澤プロと藤田プロを追いかける感じでやってきたので、お2人が頑張っているのに、「お先に上がります」はありえないと思います。
藤田 多分、そうなるんだろうね。トメちゃん自身も最近変わってきてるしね。
宮本 えっ? 変わりました?
藤田 ゴルフに対する姿勢とかが大きく変わったと思うよ。今でも忘れられないのが何年前だったか1月末のハワイ合宿のあと、3月に葛城で再開したときに、トメちゃんのキャディバッグからハワイの水が出てきたこと。「この1カ月何してたの? 練習やってなかったの?」って聞いたら、悪びれもせず「やってないっす」って言ってたもんね(笑)。でも今じゃ、毎週トレーニングをしているし、寒い日でもアカデミーで練習をしていたりするじゃない。ずいぶん変わったと思うよ。
宮本 やっぱり環境ですかね。芹澤プロの自宅近くに引っ越したことで、練習場も近くなり、時間があったらクラブを振りに行こうと思うようになりましたからね。
「優勝しなくても表現できることがあるんじゃないか」プロゴルファーとしての矜持
宮本 今シーズン、すでに始まっているわけですが、目標とか立てていますか?
藤田 やっぱり優勝かな。さっきも言ったようにくじけそうになる自分がいて、優勝もだんだん遠くなっているのかなという感じはするけどね。周りからは、「宮本さんの優勝は藤田さんにも刺激になるんじゃないですか?」って言われるけど、「よしオレも」という気持ちにはならないしね。トメちゃんの優勝もどちらかというと、「藤田さんも一緒に頑張りましょう」という励ましのように思ってしまうんだよね。
宮本 そうなんですね。
藤田 それと最近思うのは、優勝しなくてもプロゴルファーとして表現できることがあるんじゃないかなということ。たとえば自分の生き様を見せるとかね。ただ、競技者としてやっている以上、優勝はゴールだし、それを目指すべきだと思っている。
宮本 深い話ですね。
藤田 で、トメちゃんの目標は?
宮本 今年は早々に優勝できて日本シリーズの出場権も獲得できたんで、“日本シリーズ令和初代チャンピオン”を目指してみようと思っています。
藤田 大好きだもんね、日本シリーズ。3回優勝しているんだよね。
宮本 藤田さんも3連覇していますからね。お互い優勝は3回ずつですからね。4回目を目指して頑張りましょう。
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