アマチュア競技・イベント
アマチュアゴルフ最高峰の舞台は全米オープンへの貴重な経験の場 全米アマにみるUSGAの意図
2018年8月29日(水)午後1:15
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来年の全米オープンに向けてペブルビーチで開催された2018年の全米アマ
優勝したビクトル・ホブランド選手
来年の全米オープンが開催される「ペブルビーチゴルフリンクス」で行われた第118回全米アマチュアゴルフ選手権は、ノルウェー出身のビクトル・ホフラントが優勝しました。リッキー・ファウラーの母校、オクラホマ州立大学に在籍するホフラントは、世界アマランク5位の選手。今大会は世界アマランク1位、2位、3位が揃ってマッチプレー1回戦で敗退という波乱がありましたが、ホフラントは連日圧倒的なゴルフを展開し、マッチプレー6試合で大会記録タイとなる最少トータル104ホールで決着。36ホールの決勝戦では地元カリフォルニア出身のD・ブリングを「6アンド5」と5ホールを残し勝利を遂げアマチュアゴルフ界の最高峰のタイトルを奪取しました。
今大会の参加者の中には、新潟出身でUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に通う吉原英駿(19歳)、アメリカ東部ボストン郊外の高校に通う今井ジェームス亮誠(17歳)、そしてUNLV(ネバダ州立大学ラスベガス校)を5月に卒業した伴真太郎(22歳)がいました。今井選手は36ホールのストロークプレーを通算4オーバー。64位タイで終えたあと、24人で1枠を争うプレーオフに進出する事ができましたが落選。2015年以来2回目の挑戦となる吉原選手はマッチプレー1回戦で敗退。今年は6月の全米オープンにも参戦していた伴選手は2回戦で2ダウンで惜敗を喫して最後のアマチュア試合を終えました(このあとプロ転向)。
全米アマチュアゴルフ選手権は、オフィシャルハンデ2.4以下のアマチュアゴルファーであれば誰でもエントリーが可能です。今年は全世界から約7500人のゴルファーがエントリー。北米会場96カ所の予選(36ホール)を通過した選手に加え、予選免除シード選手(世界アマランク50位以内、全米OP参加者ほか)世界24ヶ国から集まった312名が参加していました。
ここ数年USGA(全米ゴルフ協会)主催の試合で私は現地メディア取材をしていますが、選手の技術やパワーはどんどんレベルアップしていて層も厚くなっています。練習場での鋭い打音は、PGAツアーと比べても遜色はありません。昨年全米アマに参戦していた選手の中でプロ転向した数人は既に成功を収めています。ホアキン・ニーマン(チリ)は今年PGAツアーで120万ドル(約1億35000円)を稼ぎ、来年の出場権を得ています。またS・バーンズ、C・チャンプは下部ツアーからの昇格を決め、J・オダ、D・マイヤー、M・マクニーリーらと現在PGAツアー入れ替え戦で戦っています。
今大会の参加者の中には、新潟出身でUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)に通う吉原英駿(19歳)、アメリカ東部ボストン郊外の高校に通う今井ジェームス亮誠(17歳)、そしてUNLV(ネバダ州立大学ラスベガス校)を5月に卒業した伴真太郎(22歳)がいました。今井選手は36ホールのストロークプレーを通算4オーバー。64位タイで終えたあと、24人で1枠を争うプレーオフに進出する事ができましたが落選。2015年以来2回目の挑戦となる吉原選手はマッチプレー1回戦で敗退。今年は6月の全米オープンにも参戦していた伴選手は2回戦で2ダウンで惜敗を喫して最後のアマチュア試合を終えました(このあとプロ転向)。
全米アマチュアゴルフ選手権は、オフィシャルハンデ2.4以下のアマチュアゴルファーであれば誰でもエントリーが可能です。今年は全世界から約7500人のゴルファーがエントリー。北米会場96カ所の予選(36ホール)を通過した選手に加え、予選免除シード選手(世界アマランク50位以内、全米OP参加者ほか)世界24ヶ国から集まった312名が参加していました。
ここ数年USGA(全米ゴルフ協会)主催の試合で私は現地メディア取材をしていますが、選手の技術やパワーはどんどんレベルアップしていて層も厚くなっています。練習場での鋭い打音は、PGAツアーと比べても遜色はありません。昨年全米アマに参戦していた選手の中でプロ転向した数人は既に成功を収めています。ホアキン・ニーマン(チリ)は今年PGAツアーで120万ドル(約1億35000円)を稼ぎ、来年の出場権を得ています。またS・バーンズ、C・チャンプは下部ツアーからの昇格を決め、J・オダ、D・マイヤー、M・マクニーリーらと現在PGAツアー入れ替え戦で戦っています。
アマ競技ながらツアー並 USGAの運営規模
吉原英駿選手(左)
誰が勝ったという大会報告も大事ですが、今回はあまり馴染みの無い選手が多いと思うので、少しアングルを変えて大会の説明をさせて下さい。
大会現場で連日過ごしていて感じるのは、USGAの運営規模の大きさとボランティアの方々の協力です。もちろんプロの試合と比べると観客席やローピングなどの規模は違いますが、大会を開催するコースのホスピタリティー、ボランティアの協力、コースセッティング、競技委員、テレビやインタービューのメディア対応などは同じような設定。USGA主催競技で感じるのは、大会運営者は参加した選手達にいろいろな事を吸収して素晴らしい経験を積んでもらえる様に、運営スタッフや予算をつぎ込んで努力をしていることです。将来、次のレベルとなる全米オープンや全米女子オープンでも力を発揮できるように正しく導いていくという意図があるように感じます。「何でもわからないことがあれば聞いてくださいね」という優しい同じ目線で対応してくれているのでお互いのリスペクトがあり、とても良い空気感を感じます。試合終了後もインターネットで試合の感想や気がついた事、今後改良して欲しいと思う点などフィードバックを求めています。
細かい説明になってしまいますが、運営面で感じた事をリストアップしてみます。
①選手の負担:選手は大会申し込みで支払ったエントリーフィー代金175ドルのみの支払い。キャディーを自分で用意する以外、ラウンド代金、連日の練習球、朝・昼食事などは選手の負担は一切無し。宿泊も事前に協会にリクエストしておくと、プライベートハウジングと呼ばれるホームステイ、または家を貸してくれるケースもあり。
②ボランティア:全米アマでは隣接するスパイグラスヒルの2コースを使用して312人の参加選手に対応する中で約900人のボランティアの方々が大会に協力(ユニフォーム100ドル自己負担)。ちなみに、来年の全米オープンでは4500人を募集していましたが既に募集人数は埋まってしまいウエイティング順番待ちのリストがあるそうです(ユニフォーム代金185ドル自己負担)。
③競技委員:マッチプレーになると、各組に全米各地のゴルフ協会から選抜されて集まった競技委員がマッチレフリーとして担当。どちらが遠いかという事や細かいマッチプレールールの確認などをしていました。
④コース設定:前回ペブルビーチで全米オープンが行われたのは2010年(優勝者G・マクドウェル)。それ以来13番、14番、17番のグリーンが改良されたり、10番の新しいティーエリアなどができています。前後左右エッジから3歩や4歩というキラーピン設定がとても多かったです。今回は来年の全米オープンに向けて新しいホールロケーション(ピンポジション)やティーイングエリアに変化をつけて連日いろいろ試していました。トーナメントディレクターを務めるUSGAジェフ・ホール氏、マイク・デービス氏が現場でプレーを観察してデータを集めていました。特にワンオンが可能なパー4の4番や10番はエキサイティングなホールです。実際に選手だけでなく、観客やテレビスタッフを考慮してローピングやカメラの配置を検討していたようです。
⑤メディア対応:あまりインタビューに慣れていないアマチュア、大学選手を、生のテレビインタービューや公式記者会見場で記者からの質問の応答を経験させることも大事なことです。自分のプレー内容や生い立ちをしっかりと整理して説明するチャンス。選手が所属する大学監督やコーチも横で見守りながら「とても貴重なメディアトレーニングになるね。実際にプレーしているよりも緊張した顔つきだ」と話していました。
全米アマ挑戦は貴重な経験に
伴真太郎選手
最近はUSGAは全米オープン会場の予行として全米アマを開催していく事が多いです。全米オープン開催の5年以内に全米アマを開催している例は下記の通り。
オリンピッククラブ 全米オープン2012年・全米アマ2007年
チェンバーズベイ 全米オープン2015年・全米アマ2010年
エリンヒルズ 全米オープン2017年・全米アマ2012年
ペブルビーチGL 全米オープン2019年・全米アマ2018年
ロサンゼルスCC 全米オープン2023年・ウォーターカップ2017年
パインハースト 全米オープン2024年・全米アマ2019年
2012年全米オープン勝者W・シンプソンは2007年アマ参加者、2015年の勝者J・スピースは2010年アマ参加者、2017年勝者B・ケプカは2012年アマ参加者です。来年の全米オープンではもしかすると今年の全米アマ経験者がシンデレラストーリーで優勝してくれるのでは?と密か期待してしまいます。今回決勝に進んだホフラントとブリングは来年全米オープンの出場資格を得ています。
過去には松山英樹も2012年全米アマには挑戦しています。2015年では小西健太が準決勝まで勝ち進み、マスターズの出場権を得る決勝戦進出まであと一歩というところまで進みました。PGAツアーではグローバル化が進んでいて世界各国の選手が競い合っていますが、若いうちから海外のメジャー開催の難コースでプレーを経験して層の厚いフィールドを知ることは大事なこと。日本の有望な若手アマチュア選手も予選会からこの全米アマを挑戦して経験を積んでいって欲しいと願います。
(取材・文・写真:アンディ和田)
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