全英オープンに魅了された塚田好宣と市原弘大「日曜日の午後、18番のフェアウェイを歩きたい」
2017年7月18日(火)午後4:24
アジアンツアーで繋がったふたりの交流
市原 塚田さんとは、初めて会ったときの記憶がまったくないんですよね。
塚田 オレも覚えていないな。気がついたら、いつも近くに弘大がいるって感じだよね。多分、アジアンツアーで顔を合わせたことで親しくなったのかもね。
市原 それはありますね。向こうではよくご飯を食べに行きましたものね。特にタイでは、いろんなお店に連れて行ってもらって。
塚田 サムイ島とかも行ったね。ニンジャなんとかって店にはよく行ったな。
市原 “ニンジャクレープレストラン"ですね。クレープなんて名前がついているけど、日本人オーナーがおいしいタイ料理を食べさせてくれる店ですよね。
塚田 ホント、変な名前だよな。
市原 あれ、元々クレープ屋だったみたですよ。でも、タイ料理のほうがうまいということで、今じゃ食堂兼居酒屋になったようです。それはそうと、何故、タイにはまったんですか? 今や日本ツアーでは、「タイのことは塚田さんに聞け」っていうくらい、タイに詳しいですもんね。
塚田 オレのことをタイ人だと思っている人もいるからね(笑)。冗談はともかく、あののんびりしたところとか、現地の人の「何でもいいよ~」というのがオレに合っていたんだね。ゴルフのほうもいいコースがいっぱいあるし。それと、プライベートゴルフでもプレーヤー1人にキャディさんが1人つくじゃない? そのキャディさんと話をしながらプレーするというのが凄く楽しかったというのもある。食事もおいしいし、酒もうまい。アジアンツアーに参加しているときも、試合の前後はわざわざバンコクに行って練習していたぐらいだからね。
市原 タイのゴルフ場のメンバーにもなったんですよね。
塚田 ザ・ロイヤルジェムズ ゴルフ・シティね。インがオーガスタのバックナインの完全コピーでなかなか面白いよ。
市原 タイ語もペラペラですよね。いつだったか、マークセン(プラヤド・マークセン)が優勝したとき、通訳をしていましたものね。
塚田 ああ、2008年のミズノオープンね。オレも3位に入って全英出場を決めてたから気分は良かったんだけど、いきなり通訳をやってくれっていうことになって。ところがマークセン、優勝インタビューだからというので、いきなりよそ行きの言葉を使い始めてね。聞き慣れない言葉が多かったんで、正直何言っているのかわからなくて(笑)。あれ以来、マークセンが勝ちそうになると、「残っていてくれませんか?」って言われるんだけど、全部断っちゃってる(笑)。
全英オープンの思い出
市原 今回は、「全英オープン出場者対決」ということで、塚田さんと僕に白羽の矢が立ったようなんですが、塚田さんは確か3回出場していますよね。
塚田 そう。04年、08年、14年。弘大は2回だっけ?
市原 僕は12年と16年です。
塚田 2回でも、弘大は1回予選通過しているからな。オレなんか3回とも予選落ち。一度でいいから、日曜日の午後、18番のフェアウェイを歩きたい(笑)。
市原 一応、僕は歩きましたけど、3番目ぐらいのスタートだったんで、ギャラリーもちらほら。残念ながら、大観衆に迎えられてというわけにはいきませんでした。
塚田 それでもたいしたもんだよ。あのロイヤルトゥルーンで決勝ラウンドに行っちゃうんだから。
市原 ギリギリの予選通過だったんですけど、行く前にできる限りの準備はしていきましたからね。トゥルーンでプレー(04年の全英)したことがある塚田さんにも攻略法をバッチリ教えてもらったのも大きかったです。あの時のアドバイスがギリギリセーフにつながったと、今でも感謝しています。
塚田 予選通過の瞬間は感動的だったよな。
市原 思い出すと今でも涙がこぼれそうになりますよ。12年の最初の挑戦では完膚なきまでに打ちのめされて、満を持して臨んだ二度目は何とか予選を通過したいと思っていたんだけど、やっぱり打ちのめされて。それでも最後まであきらめずに戦って、ようやく手に入れた決勝ラウンド進出でしたからね。
塚田 その思いは、テレビで見ているこっちにも十分伝わったよ。
市原 残念ながら今年は2人とも出場できないわけですが、今年のロイヤルバークデールは08年にプレーしていらっしゃるんですよね。どんなコースなんですか?
塚田 とにかく難しい。練習場も難しかったからね(笑)。真っ直ぐのアゲインストで、7番アイアンでも100ヤード行かなかったから。
市原 全英の風は本当にやっかいですよね。
塚田 一番印象に残っているのは、1番ホール。今まで数多くのゴルフ場でプレーしてきたけど、ハッキリ言ってここが一番苦手。練習ラウンドも含めて最高がダボだからね。正面に丘みたいなマウンドがあって、ドライバーでこれを超すのは無理だから、マウンドの右か手前に刻むんだけど右がOBで、しかも左からの横風が吹き付ける。練習日にも結構ギャラリーがきていたんだけど、緊張のあまりトップしちゃって、ティーグラウンドの前のブッシュに入れちゃったぐらい(笑)。あのホールを各選手がどう攻めるのかをとっても楽しみだね。
「一緒に出て予選通過しよう、ただし最終日のトップスタートは避けて(笑)」
市原 昨シーズンはチャレンジツアーに挑戦して、素晴らしい成績を残しましたね。
塚田 チャレンジとはいえ、1年間通してプレーができ、優勝も2回できたからね。とてもいいシーズンだったと思う。最終戦で賞金王を意識して戦うというのもいい経験になったしね。
市原 どういうモチベーションで戦っていたんですか?
塚田 やっぱり、「若い選手に負けるもんか」って気持ちだよね。チャレンジには、荒削りだけど魅力のある選手がいっぱいいたんで、彼らに負けないようにと必死で戦ったのが良かったのかな。
市原 チャレンジでは最年長だったそうですが、塚田さんはどうみても47歳(8月で48歳)には見えないですよね。2年後、シニアなんて信じられない。
塚田 よく考えると、みんなオレの子どもといってもおかしくない選手ばかりなんだけど、気持ちは同じだからね(笑)。自分では年長だとは全く思っていない。
市原 そういう気持ちが大切ですよね。僕も塚田さんのようにできる限り長くゴルフをやりたいと思っているんで、塚田さんのことを見習いたいと思っているんですよ。
塚田 弘大だったら、ここから先、計画的に練習して、一つずつ目標を達成していったら、各日にトップ争いができると思うし、メジャーの挑戦権も獲得できると思うよ。
市原 わかりました。しっかり計画を立てて、塚田さんみたいにいつまでも若々しくプレーできるように頑張ります。ところで、塚田さんは、今どんな目標を掲げているんですか?
塚田 プロゴルファーとして勝ちたいというのは当然あるんだけど、それと同時に、メジャーにもっと出たいという気持ちが強いね。一度でいいから全米オープンにも出てみたいしね。それも、ペブルビーチでやる全米オープンでプレーしてみたいな。あとは、全英オープンの最終日の18番にフェアウェイを歩くことね(笑)。そういうのをモチベーションにして長くやっていきたいね。
市原 僕も、メジャーに魅了された一人なんで、どんな大会でもいいから出たいですね。また、チャンスがあればどんどんチャレンジしたいと思っています。
塚田 今度、全英オープンに一緒に出ようよ。
市原 いいですね、出ましょう。
塚田 そして、予選は絶対に通過しようね。ただし、最終日のトップスタートは避けようね。ゴルフじゃなくて、散歩になっちゃうから(笑)。
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(写真:Getty Images)
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全英オープン
<テレビ放送予定>
1日目:7月20日(木)午後2:30~深夜4:00
2日目:7月21日(金)午後2:30~深夜4:00
3日目:7月22日(土)午後5:00~深夜4:00 ※最大延長午前 6:00
4日目:7月23日(日)午後4:00~深夜3:00 ※最大延長午前 7:00
<出演>
解説:佐藤信人(プロゴルファー・JGTO理事)、内藤雄士(ツアープロコーチ)
実況:薬師寺広・土居壮
ゲスト解説:矢野東プロ(2日目)、久保谷健一プロ(3日目)、塚田好宣プロ(4日目)