「結構うれしい」松山英樹の予選通過(舩越園子の現地レポート/2016全米プロゴルフ選手権)
2016年7月30日(土)午後1:12
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全米プロ2日目を67で回り、通算4アンダーで9位へ浮上した松山英樹の喜びの表し方が、とても彼らしく、愛らしかった。
2番で第2打が直接カップに沈み、イーグル達成。両手を広げて万歳のポーズを取った松山は、グリーンへ向かって歩く際もキャップを取って観衆の拍手に応えた。
「やっぱりイーグルはうれしかった?」と単刀直入に問いかけると、松山は「そうですね」と笑顔を見せずに答えたが、「そうですね」の一言を返すタイミングの早さや声のトーンから、彼のうれしさが伝わってきた。
もちろん、イーグル以上にうれしかったことが、この日はもっともっとあった。
「後半は(18番で取るまでは)バーディーが取れなかったですけど、悪いところもありながら、よく頑張ってきたな、伸ばせたなと思います」
何よりうれしかったのは予選通過できたこと。メモリアルトーナメントで予選落ちを喫して以降、メジャーでは全米オープンでも全英オープンでも予選落ちしたことは、ああ見えて実はナイーブな彼の心にずしりと重くのしかかっていたのだと思う。
「結構うれしいです」
喜びを感じながらも、その喜びをそのまま笑顔に変えないところが松山らしい。きっと照れ臭いのだと思う。
しかし、ストイックな彼が大勢の日本メディアの前で「よく頑張ってきたなと思う」と自分で自分を褒めてみせるのはとても珍しいことで、そこに喜びの度合いの大きさが十分に見て取れた。
喜びながら、同時に分析や反省も行なっていた。
「メジャー2試合で(予選を)落ちたのは、落ちる要素がたくさんあったから。今のゴルフだったら落ちる要素はほとんどないし、普通に予選を通れる。ただ上位に行くには、まだまだ足りなさすぎる」
今大会では昨日も今日もショットが徐々に上向いているが、それも「まだまだ」だと松山は言う。
「グリーンは捉えてますし、ミスの幅はだいぶ狭くなっている。でも、もう少しいい当たりが出るようにしたい」
例えるなら、今はまだ病み上がりで社会復帰したばかりのような恐る恐るの状態だ。
「(ホール間やショット間に)歩いているときとかは、(次打が)ラフに行ったらどうしようとか、曲がったらどうしようとか思います。それを、そう思わないぐらい良くなるまで練習するだけです」
心の中でいろんな葛藤が次々に起こっているようだ。予選通過できたのみならずトップ10まで浮上した感想を尋ねてみても、彼の返答はこうなる。
「もうちょっと伸ばしたかったと思うのと、いつ崩れるかわからないからドキドキしながら回ってたのと、両方あります」。
心は揺れ続けていたようだ。そして“揺れ"はショットとパットの間にもあると言う。
「もうちょっとショットにストレス抱えずに打てたら、パットももう少し楽に打てるのかなと思います。でも、どっちもストレス抱えてやっている状況の中で予選を通れたのは良かったなと思う」
松山自身はできるだけ笑顔を出さずに照れ隠ししている風なのだが、何をどう話していても、最終的には「うれしい」に行きつくところが、なんとも愛らしかった。
??ほっとした?
「そうですね、、、、良かったです」
??明日からは予選通過を気にすることなくプレーに集中できる?
「久々の4日間なんで、体力が持つかどうか」
??明日からは、どんどん上位を狙うのみ?
「まあ、それなりに頑張ります」
最後まで照れ隠し状態が続いたが、「結構うれしい」という気持ちは端々に明らかに感じられ、最後のほうは聞いている日本メディアの誰の顔にも微笑が漂うほど、今日の松山は愛らしかった。
文・写真/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
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最終日 7月31日(日) 深夜0:00?翌午前8:00※最大延長翌午前10:30
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写真提供:Getty Images